映画「はい、泳げません」感想(ネタバレあり)!

 

映画「はい、泳げません」感想(ネタバレあり)!

この記事には6月10日(金)に公開された映画「はい、泳げません」(上映時間:113分)のあらすじと感想(ネタバレあり)が書いてあります。まだ見ていない方、知りたくない方はご注意下さい。

 

(公式サイトより)

大学で哲学を教える小鳥遊雄司(たかなしゆうじ/演:長谷川博己)は泳ぐことができず、人生のほとんどで水を避けてきたが、ある日ひょんなことから水泳教室に足を運ぶ。その日から陸よりも水中の方が生きやすいという水泳コーチ・薄原静香(うすはらしずか/演:綾瀬はるか)と、水への恐怖で大騒ぎしながらそれでも続ける雄司の、一進一退の日々が始まる、という、泳げない男と泳ぐことしかできない女の希望と再生の物語です。

 

以下、映画の感想(ネタバレあり)なのでご注意下さい。

静香コーチのトラウマは克服されていない?

 

(ここからは個人的な感想です。批判的な内容が含まれています。ご注意下さい)

映画では主人公の小鳥遊さんはトラウマ(水恐怖症に加え、水難事故で息子を失っている)を克服してなんとか泳げるようになり、恋人の奈美恵さんにプロポーズも成功して終わるという、一見するとハッピーエンドでした。

それなのに、なんとなくモヤモヤが残りました。なぜかといえば、小鳥遊さんのトラウマ克服に貢献した静香コーチのトラウマは克服されないまま終わったからです。

静香コーチは交通事故によるトラウマで外を歩くのが怖いため、スイミングクラブのすぐ近くに住んでいると言っていました。終盤で、静香コーチが小鳥遊さんの住んでいるアパートまで歩いて会いに行くシーンがあります。スイミングクラブと自宅を往復するより明らかに長いであろう距離を、フラフラになりながらも歩いてきた静香コーチは、物語の前半の頃よりは進歩しているともとれますが、それでも不自然な歩き方で、トラウマが克服されたわけではないと感じられました。

あれだと職場と自宅以外どこにも行けないレベルだし、日常生活に支障が出るタイプのかなり深刻なトラウマなのでは……?

この映画は「泳げない男と泳ぐことしかできない女の希望と再生の物語」と銘打っています。泳げない男は泳ぐことしかできない女の手を借りて、長年抱えていたトラウマをなんとか克服しましたが、「泳ぐことしかできない女」は泳ぐことしかできないまま終わってしまいます。

せめて小鳥遊さんが静香コーチのトラウマ克服に関与して、静香コーチがもう少しまともに外を歩けるようになったなら、見終わった後こんなにモヤモヤが残らなかったかな、と思いました。

小鳥遊さんを救えるのはトラウマを抱えながらも強く生きている静香コーチだけ、という見方もありますが、静香コーチは救われないままなの?とどうしても思ってしまう……。

せめて静香コーチが「私はこのままで大丈夫です」と宣言するとか、今のままでも特に不自由してない、と語ってくれたらもう少し納得できたんですが、

そのへんは描写がなくてもお察しください、ってことですかね……(すみませんね察しが悪くて……(;´д`)

あと小鳥遊さんと奈美恵さんのなれそめも端折られていて、どのへんに惹かれ合って付き合うようになったのかもよくわからないので、プロポーズのシーンもいまいち感動できなかったです。

小鳥遊さんはトラウマを克服し、プロポーズも成功して泳ぐことも楽しくなったようで、水中での笑顔のカットで映画は終了しました。一方、小鳥遊さんをトラウマから救った最大の功労者である静香コーチはトラウマを抱えたまま、そのままで平気なの?と問題提起もされないまま終わってしまったので、なんというか不公平感がすごいな……と思ってしまいました(;´д`)

ひょんなことから出会った水泳教室の生徒とコーチが、お互いのトラウマを克服しようと協力し合って奮闘する話じゃダメだったのかな……そこに恋愛感情が芽生えることがなくても、「泳げない男と泳ぐことしかできない女の希望と再生の物語」として成立したのではないかと思います。

終盤で、小鳥遊さんと元妻の美弥子さんの、息子を失った悲しみが浄化されるシーンがありましたが、静香コーチはトラウマの浄化どころか「あなたはそのままで大丈夫?」と訊かれることすらないのがつらい……せめて誰かが大丈夫なのかを訊いて、静香コーチがそれに応えるシーンがあってほしかったです。

静香コーチ視点のエピソードも見たかった。ずっと小鳥遊さん視点でストーリーが続くので、メリハリがないというか、正直しんどいなと思いました。

 

腑に落ちなかった点ばかりグダグダ書き連ねてしまいましたが、いろんなことに挑戦している作品だな、と思いました。

全体的にトリッキーな演出が散りばめられていて、好みが分かれそうですが、小鳥遊さんと静香コーチが電話するシーンは驚きがあり、私は好きでした。

夜のプールで小鳥遊さんと静香コーチが抱き合うシーンは幻想的で、もう少し見ていたかったです。

一見の価値はある映画だと思います。

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